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思ったほどきもくないです
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ちょっとだけ小難しい話をちょいちょい挟んでいきますね。
写真に興味が無い人には実につまらない記事です多分


こんにちわ。
ハリアナ君1号のテスト撮影を終えました。とりあえずフィルム1本分。
6×6版ですのでフィルム1本での撮影枚数は12コマ
ぶっちゃけ結構割高です。
ただでもらったフィルムで文句いってんじゃねーって感じですが。
現像+CD書き込みにかかる費用は35mmフィルム(24枚撮り)と同じなので
写真一枚当たりの費用は単純に倍ですね。せせこましい考え方ですが。

まあそんなわけでテスト撮影とはいえ慎重になりますよね。
お金のこと考えなくてもチャンスは12回しかないと考えちゃうと。
でも逆に「早く撮りきってしまいたい!そして現像に出したい!」と思って変なところで妥協しちゃって
考えなしにシャッター開けちゃうと出来上がっても気に入らない写真にしかならないわけで。
不思議なものです。
デジカメはまったくその真逆で、気軽にどこでもパチパチシャッター切って
撮ったその場で気に入らなければポイ。
偶然撮れた自分的ナイスショットだけ残して次にいけばいい。
どっちが良い悪いではなく、どちらも写真の楽しみ方としては全然アリです。


話が逸れつつあるので戻しますよ。


えーとまず。画像を見る前に書いておきます。
光漏れしてました。割りと派手に。
あと全体的に露出不足っぽくて、もうちょっと露光時間に余裕があっても良かったような印象でした

なのでまずは、前回触れた前フリの部分、露光時間等々に関する薀蓄は後回しにするとして、
作例を見てもらうとしましょう。

テスト撮影8
一番まともに撮れた写真。
天候:雨
露光時間:25秒
走っている車の軌跡がうっすら見えてますね




テスト撮影1
逆に一番光漏れ?内部反射?が酷かったもの。
天候:晴れ
露光時間:2秒
記念すべき一番最初の撮影だったのにガッカリ



そんなわけで以降、この真ん中の光のスジと右側の光が邪魔臭いですけど
一応撮れてましたので載っけておきますね。
光漏れの原因は今度の休みにでも徹底的に検証して潰していこうと思います。

あと、言い訳くさいですが使ったフィルムの使用期限が2007年4月だったので
カラーバランスとかは大幅に崩壊しています。
なのでフォトショップで色味はかなーり補正してます。
写り自体のボケはピンホール写真独特のものですので誤解なきよう。



テスト撮影2
フィルム巻き忘れ多重露光。
1枚目
天候:晴れ(日暮れ時、逆光)
露光時間:2秒
2枚目
天候:晴れ(日没直前の暗い日なた)
露光時間:15秒
完全に失敗ですが試験的にどうなるのか試してみたかったので、
一枚目に思いっきり逆光で撮ってます
二枚目の重ね撮りさえなければ少しはマシなサンプルになったのにねー




テスト撮影3
天候:晴れ
露光時間:3秒
画面右の光が一番強い。
水面がありますし午後の西日が強い時間帯でしたので、これらの事から

・真ん中のスジは箱同士の隙間から漏れた光
 (前のコマを撮っているときにちょうど真ん中に箱の継ぎ目が来ます)
・画面右の光は暗箱の内部反射が怪しい

と今のところ推測しています。




テスト撮影4
天候:晴れ
露光時間:3秒
先に述べたとおり、何の気なしにシャッター開けてしまった作品なので
たいした感慨も無いのですが、それなりによく撮れてるのがムカつくw



テスト撮影5
天候:晴れ
露光時間:3秒
上の写真と同じ場所。ちょっと立つ位置変えてみただけ
撮ってしまってからフィルム無駄にした気がして悔しかった
ここは田植え前の水を張った時期に撮りに来たら最高でしょうね




テスト撮影6
天候:夜(ショッピングモールの割りと明るい照明)
露光時間:17分
長時間露光を試してみたくて、でも片田舎では綺麗な夜景もあんまりないし
そんな景色を見下ろす場所にお手製カメラ持ってあがる怪しい人もまーいませんしw
なので某ショッピングモールの駐車場へ。
昼間もわりと奇抜な色使いの壁で、とんがったデザインの建物なんですが
夜はこれまたいまどき珍しいネオンだらけの電飾なので面白いなと思って。
いかにも田舎の大型店舗っぽい臭いが逆にいいかなと。
テールランプの軌跡がいい感じですね



テスト撮影7
天候:雨
露光時間:15秒
潰れたスロ屋。
草ぼーぼーの荒廃しきった駐車場もまた趣があったので
別のカメラで今度撮りにいきたいです。



テスト撮影9
天候:室内
露光時間:15分
我が家で一番オサレな部分、「内装にそぐわない、かなり浮いた雰囲気のシャンデリア」
もうちょっとオレンジ色の強い光線のはずなんですが色味いじりすぎたかな?



テスト撮影10
天候:室内(トイレの弱い電球下)
露光時間:30分
室内の長時間露光、しかも超接写のサンプル。
狭いので撮り終わるまで、トイレの中に篭ってますw




光漏れ、内部反射の見落としさえ無ければ ちゃんと撮れることが分かったので
またしばらく改良を重ねようと思います。
いっそピンホール箱(レンズ筒)から作り直しちゃおうかなー?

テスト自体は、天候や露光時間等をメモしつつスローに進めていくこの
まだるっこしさが逆に楽しくて、
客観的に見れば、三脚の先に手作りの怪しい箱くっつけて
それ持ってウロウロする不審者でしたがw



まず折り返し前の写真を見てもらって分かると思いますが
撮影シーン(天候)によって、かなり露光時間(シャッターを開放している時間)が違っています。

難しい概念や仕組みの話はまず置いときます。

小さな穴を通ってきた弱い光だけでフィルムを感光させるので
その分長い時間シャッターを開けて光の量を稼ぐ

概念や仕組みを省くとこういうことになります。

だから曇りの日や室内や夜間など、もともとの光が弱いときは
それにあわせて露光時間もスゲー長くなるわけです。
だから人や動物、乗り物など動くものの撮影はとても苦手。


【絞りのオハナシ】

「絞り」。カメラ用語ではよく聞く名前。簡単に言うと光の入り口の大きさです。
絞りを開けば入ってくる光が増えて明るく、絞れば暗くなる
それが写真と何の関係があるの?って話ですが
レンズを用いたカメラでは被写界深度やピントに関わってきます。

でもここではあまり関係ない。
トイカメラではこの絞りが固定のものも多いわけで。

んで、ピンホールカメラの場合ですが、光の入り口は小さな針穴しかないわけです。
言ってみれば究極の絞り込みですよね。
この絞りの値はf値で表します。
値が小さいほど絞りが緩く明るい、大きくなるほど入り口が狭く暗くなる。
一般的な一眼レフカメラでは
http://www.fujifilm.co.jp/photomore/lesson/b_art005.html#02
こんな感じで絞りきっても50も行きません

ではハリアナ君のf値はいくつでしょう?

ピンホールカメラのf値は
焦点距離÷孔径で求めます。


焦点距離(ピンホールからフィルムまでの距離)がここでは50mm


孔径はおおよそ0.25~0.3mm
先ほどの式に当てはめると
50÷0.25=200
50÷0.26=192.30769231…
50÷0.27=185.18518518…
50÷0.28=178.57142857…
50÷0.29=172.4137931…
50÷0.30=166.6666666…

一眼レフでは考えられないような大きな数値ですが・・・
正確に孔径を計ることが出来ないと、このようにたった0.05mmの差で
f値が30以上誤差が出てしまいます。

でもまあ、あんまりシビアに値を求める必要はありません。


この先、ちょくちょくこの画像出てきますから。
まず難しいこと考えず上の枠だけ見てください。
一見不規則に数字が並んでるように見えますが、→に行くにしたがって
×√2、つまり×1.414されています。正確な値ではないですが、だいたいでいいんです。

先ほど見てもらった
http://www.fujifilm.co.jp/photomore/lesson/b_art005.html#02
コチラのページにも、似たような数字が並んでますよね
これが一般的なカメラの絞り値、一段階進むごとに×√2増えていくので
絞り込むにしたがって値の差が大きくなっていく=アバウトになるわけです。

ハリアナ君のf値が167~200ですから、近似値で180を参考にすればよいわけです。
よってf=おおよそ180ということになります


【シャッタースピードのオハナシ】


んじゃ今度は下の枠を見てください。
さっきのでだいたい察しがつくでしょうが右にいくごとに×2されてますよね。
シャッタースピードにはこの表にない1/400秒とか1/13秒とか4.25秒とかもあるわけですが。
シャッタースピードは1段階進むごとに×2される、ということだけここでは解ればいいです。



【デジカメと計算機で露光時間を求めるオハナシ】

はい。前置きは終わりました。
んじゃ実際にハリアナ君で適正な露光時間を求めるのにはどうしたらいいか?
本題に入りますよ。

前置きの段階で、ハリアナ君1号のf値はだいたい180だと解りました。
次に把握しなければいけないのは、フィルムのISO感度です。
今回使ったのはISO160のフィルム。
本当は計算しやすいISO100がいいんですけどね。

そして必要なのがデジカメと計算機。
露出計があればこんな面倒くさいことしなくてもいいんですが

簡易的なものでも結構お高いんですよ。露出計って。
それに簡易的なものではピンホールカメラみたいに大きなf値は
想定されていないこともあるし。

せっかく
「絞りは一段ごとに×1.414」「シャッタースピードは一段ごとに×2」
ってのが解ったんですからこれを使いましょう。


ますはハリアナ君と同じ場所で、デジカメでピントを合わせます。
シャッターボタン半押し。これくらいは解りますよね。バカにすんなって話ですw

ピントを合わせる前にまず、オートフラッシュを切りましょう。
強制発光禁止にして、ISO感度を使っているフィルムに合わせます。
今回はISO160を使っているわけですが、残念ながら手持ちのデジカメでは160を指定できません。
仕方ないので200に合わせています。

その条件でデジカメが弾き出した絞りとシャッタースピードの適正値が、画像にある通り
F=2.8
シャッタースピード=1/13秒
だったわけです。この場合。


さぁこっからは計算機の登場です。
適正な絞りの値が2.8でした。
でもハリアナ君の絞り値は180です。孔を広げることはできません。

2.8から180までは12段の隔たりがあります。
じゃあシャッタースピードも12段増やしましょう。
1段あたり×2ですから、それを12回繰り返します

1÷13=0.07692308…
0.07692308…×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2=315.07682308…

もっとスマートに式にするなら

2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2×2/13=315.07682308…

つまり315秒、つまり5.25分(5分15秒)シャッターを開放すれば言い訳です。
もちろん、f値もアバウトな求め方でしたし、実際のISO感度は200ではなく160。
ちょっと心配なので多めに見積もって6分くらい開放するのもいい。
その辺は自己判断です。
何度も撮影を繰り返し、自分のカメラの癖を掴むのは大事です。

やみくもに写真を撮りまくって失敗作を積み重ねるよりは
参考になるものは参考にしたほうがいいに決まってます。

素人ではこの程度までしか自分で作ったカメラの露出を求められませんが
それでも大体の基準になる露光時間は計算で求められるわけです。

もっと手っ取り早く

この画像をプリントアウトして上下で切り離し、デジカメで得た絞りとシャッタースピードに
上下をあわせ、そのまま自分のカメラのf値(ここでは180)の真下にくる秒数を
参考にするのもいいと思います。
デジカメではわりと小刻みなシャッタースピードを弾き出してくるのであまり参考にはなりませんが。

でも最終的なシャッターの開放時間は完全に手動なわけです。
微妙な誤差は当然生じますし、そんなにシビアに考えなくていいです。
参考になるものが計算で得られるだけでも、心理的にゆとりが生まれるというか。

ちなみに、2chのトイカメラスレで教えてもらった裏技?というほどでもない小技ですが
シャッターの前を手帳や財布など身近な平らで黒いもので覆ってから
シャッターを開放し(板を抜き)
シャッターを閉じる前にまずさっき塞いだ手帳などでとりあえず覆って
シャッター板を下ろす
こうすることでかなりブレが防げます。
レリーズでも仕込めれば簡単に解決しますけど、覚えておいて損は無いと思います。








ああそうそう。
孔径と解像度の話をしてませんでしたね。



簡単に説明しますね。



針穴を通ってフィルムに届いた光の直径が
そのままPCの画面でいえば1ドットに相当するわけです。
いってみればピンホール写真は点描なんです。

ゆえに針穴は小さければ小さいほど、理論上はフィルム上に結ぶ像は精密になるわけです。
つまり画像がシャープになるんですね。針穴写真はボケが味でもあるんですが。
実際はそう単純な話でもないんですけど。
ただ、穴が小さくなれば、入ってくる光の量も少なくなる為
絞りの値は大きくなる(暗くなる)ので、より長い露光時間が必要になります。
露光時間が長くなればブレの可能性も格段に上がってしまうため、
よりしっかりした土台にカメラを固定し、微動だにしないほど押さえつけたまま
シャッターを切ることになりますし、実際実用的じゃない。
やはり針穴写真は細部のボケも味として楽しむもの。
そこそこシャープな画像が得られればそれはちょっとした自慢になりますが
写真の魅力はそこだけじゃないですよっていう。

針穴は小さく正円に近いに越したことは無いけど
そんなに精度を求めなくても針穴写真の楽しみは損なわれませんよって話です。

というかそこまで精度の高い針穴をあけるには
最早縫い針では役不足。レーザー光線で抜くとか精密ドリルが必要になってきます。
また、どんなに正円の極細の穴が開けられたとしても、今度はピンホール板の厚みが問題になってきます。
究極の理想を言えば、板は限りなく薄く、穴は限りなく小さく、ということになるので
人の手でそこまで追求するのは無理、というかナンセンスなわけです。
また、そこまでの極細な穴を苦労して作っても、ピンホール板自体の経年劣化によって穴は広がる可能性もあるわけで。

突き詰めて究極を目指すのも悪くないけど
そこまでしなくてもちゃんと撮れるし、
そこまでするくらいなら工業製品使えばいいじゃんって話です。
機材を揃える費用で最高級デジカメ何個買えるんですかっていうw

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